フランドン農学校の豚

2004/7/11(日)18:30開演 宮沢賢治/原作 不二稿京/演出
不思議地底窟 青の奇蹟(京王線高井戸駅近く)にて

ネオアングラ演劇集団として活躍していた劇団・オルガンヴィトーが解散し、主宰の不二稿さんのもとに残ったメンバーで立ち上げた青の奇蹟。アートスペース兼居酒屋として地下1階に居を構える。その青の奇蹟の公演が「フランドン農学校の豚」なのです。夏の3連続公演のトップ。
宮沢賢治の話を不二稿テイストで進めていくのかとぼんやり思っていたのですが、なにやら予想外の展開。もしかして「バロウ」にちょこっとフランドン農学校の豚エピソードをくっつけてみた?
だってまず雪彦ちゃん一族が出てきます。星彦ちゃんは刑事に火をつけたそうです。その刑事ってもしかして沼田刑事かしら?愛の友の会はライターを売っています。真珠郎さまの足は黒犬に噛まれて壊疽をおこしているようです。しっぽんながか夢に取り付かれて悪か業から逃れることはできないそうです。
あー。バロウダイジェスト版が今見れるなんてー。
いやいや。ちゃんとフランドンの考え方が反映されていましたよ。
フランドン農学校の豚の原作を知らないので解釈もちゃんとはできないんですが、視点が変わるというのがポイントかな。あと人間のエゴというのがテーマかもしれません。
「バロウ」「眠り姫」では少ししか語られなかった雪彦のその後の人生(臓器ブローカーになる)ことの理由について、フランドンでは新しい視点で描かれていました。バロウ本編では殊勝な兄的な描写でしたが、今回は兄が暴走したことになってます。弟の暴走を諌めた兄こそが自分に都合のよい想像のもとに動いていたという。
フランドンで屠殺される豚が今まさに殺されるという瞬間に保村さん(雪彦)から高橋さん(星彦)へと演者が変わり、ナレーションが豚の1人称から3人称へ変わる。バロウでは自己犠牲が前面に出されていましたが、今回は欺瞞だとかエゴだとか皮肉的な要素がプラスされていたように思います。
それにしてもとても狭く硬い座席に2時間は辛かったです…